カクレクマノミの基本情報
カクレクマノミ(学名:Amphiprion ocellaris)は、カラフルで独特な模様が魅力的なサンゴ礁魚の一種です。
これらの小型の魚はアクアリウムでの飼育が非常に一般的であり、その独自の魅力から多くのアクアリストに愛されています。
1. 寿命と全長サイズ
カクレクマノミの寿命は約6年から10年で、長く生きる個体だと十数年から20年以上生きる個体も少なくありません。
私のところにも、飼い始めてから16~17年くらいになる(2024年3月現在)インドネシア産のペアがいますが、インドネシアの海で泳いでいただろう月日も想像すると、推定19歳くらいかなと思います。
これは、カクレクマノミ程度の体の大きさとしては異常なほど長寿な魚で、珍しいと言えます。
全長サイズは成魚で約8㎝程度になります。
これは小型の魚であり、コンパクトなサイズながら美しい色彩が特徴です。
2. 生息地と生態
彼らは暖かい海洋地域、特に太平洋とインド洋のサンゴ礁で見られます。
カクレクマノミは共生生物であり、特に海藻の上やサンゴの周りで生息し、自身を守るための隠れ家を確保します。
カクレクマノミは家族で暮らし、一番大きな個体が雌、2番目に大きな個体が雄としてペアを組んでいます。
そのペアのまわりにいるカクレクマノミは、雄でも雌でもない個体が一緒に暮らしています。
3. 適水温と適pH
カクレクマノミは比較的温暖な水域を好み、適正な水温は約24℃~28℃で、pHレベルは8.1~8.4くらいが適切であり、これらのパラメータを安定させることが重要です。
ちなみに基本中の基本ですが、水換えに使う水は前日に作っておきます。
溜め水容器に人工海水を溶かしておき、ヒーターで温度を適温にしておきます。
溜め水容器には、できれば水中ポンプなりエアレーションをして水を動かしておくと、より人工海水が溶けやすく、温度も均一になり、pH値も適正値に近づき、水道水に含まれている二酸化炭素もより早く確実に抜けてくれます。
必ずしも溜め水を使わないと魚が死ぬわけではありませんが、水道水に含まれている二酸化炭素が一番危険なので、基本は溜め水にして水換えの前日に海水を作っておきましょう。
最適な水質を作るために、各カルキ抜きや毒物除去剤から、目的に合ったものを選びましょう。
最強濾過バクテリアや、最強PSBなども以下のリンクから関連記事をご覧ください。
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4. 餌と食性
一般的にカクレクマノミは雑食性で、小型のプランクトン、そして冷凍飼料や人工飼料を摂取します。
飼育環境では、バラエティ豊かな栄養源を提供することが健康な成長に不可欠です。
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5. 行動と社会性
カクレクマノミは社交的で平和な性格を持ち、同じ種であるスズメダイのグループの魚や、他の小型魚と穏やかに共存することができます。
しかし、クマノミの仲間とは領土を巡って闘争することがあります。
これらの基本情報を把握することで、カクレクマノミの適切な飼育環境を提供し、彼らが健康で幸福な生活を送るための手助けができます。
次に、飼育環境や飼育のポイントについて詳しく見ていきましょう。
カクレクマノミの飼育環境
カクレクマノミの飼育環境は、美しさと機能性を兼ね備えるよう工夫すると最高です。
彼らが自然な行動を発揮でき、同時に安心感を得られるような水槽デザインを構築することが飼育の成功に繋がります。
とはいえ、もちろん管理重視でベアタンク飼育にするのもありですよ。
1. アートとデザイン
水槽デザインは、アートのような創造的な一面もあります。
カクレクマノミは岩やサンゴの間を泳ぎ回ることが好きなため、これらの要素を上手に配置して自然な環境を再現しましょう。
サンゴでは飼育が簡単なソフトコーラルがおすすめですし、イソギンチャクも良いです。
ただし、カクレクマノミよりイソギンチャクやサンゴなどの無脊椎動物の方が飼育管理が難しいため、水槽管理を簡単にするなら無脊椎動物は必要ありません。
2. 水槽サイズと隠れ家の提供
カクレクマノミは自然界で隠れ家を求め、安心感を得ます。
したがって、水槽内には岩やコーラルなどを使った隠れ家を豊富に配置し、彼らがストレスなく過ごせる環境を整えましょう。
隠れ家があれば、彼らは安全を感じてより自然な行動を見せます。
人工的な隠れ家の使用も良いですし、テラコッタ鉢を隠れ家にすることもできます。
飼育する水槽サイズは、できれば60㎝規格水槽(60×35×30:約60ℓ)がおすすめですが、それより小さい水槽がいいというかたであれば、最低でも30㎝キューブ水槽(30×30×30:約27ℓ)にしておくのが無難です。
3. 照明の重要性
適切な照明はカクレクマノミの美しい色合いを引き立て、照明によって生活サイクルのコントロールもできるため、健康的な生活を送る要因にもなります。
規則正しく管理できるよう、タイマーを活用しましょう。
太陽光を模倣したLEDライトがおすすめで、昼夜のサイクルを模倣することで生態に合った照明を提供できます。
4. 海流の再現
彼らの生息地では常に海流があるため、水槽内でも軽い水流を作り出すことが大切です。
エアストーンやサーキュレーターを使用して水を動かし、酸素供給と水の循環を促進します。
海流を再現する水中ポンプを使用したり、複数の水中ポンプを使って水流を複雑にするのも方法です。
5. カクレクマノミの行動観察
水槽内でのカクレクマノミの行動を観察することは重要です。
異常な行動が見られる場合は、水質や照明、流れなどの環境要因を確認し、適切な調整を行うことが必要です。
水槽の飼育設備を整えることやレイアウトデザインは、カクレクマノミが健康かつ幸せに暮らすための基盤を築く重要な要素です。
ちなみに、淡水環境と違って、海水環境の場合は濾過バクテリアによる濾過環境が構築されて安定するまでに、感覚的には淡水の倍以上かかります。
実際に水質測定したわけではないので、倍以上かかるというのは正確ではないかもしれませんが、とにかく淡水環境よりは月日がかかるのは間違いないので、新規水槽を立ち上げた場合は半年くらいは無理をせず、水質が悪化しないよう気をつけるようにしましょう。
そのため、市販の優れた濾過バクテリア商品を使って助けてもらうのも良い方法です。
天然の濾過バクテリアとして、ライブロックを入れる方法も良いですが、デメリットとしてはライブロックがある水槽では魚病薬やコケ抑制剤を使えない等があるので、メリット・デメリットを考えて選択しましょう。
次に、仲間との混泳について詳しく見ていきましょう。
カクレクマノミの混泳
カクレクマノミは社交的で穏やかな性格を持っていますが、仲間の選定や混泳には注意が必要です。
他の魚との調和を保つために、適切な仲間を選び、水槽内での平和な共存を促進しましょう。
1. 適した仲間の選定
カクレクマノミは基本的に平和ですが、反面、攻撃的な性格を持っています。
同じ種の仲間とのテリトリー争いが起こることがあるのです。
したがって、同じクマノミの仲間や、他のカクレクマノミと一緒に飼育する場合は、充分な隠れ家やテリトリースペースを確保することが重要です。
また、異なる種の小型で穏やかな魚との混泳もおすすめです。
2. カクレクマノミの混泳相性
カクレクマノミは比較的他の小型魚との混泳が適しています。
例えば、マンダリンフィッシュやハゼの仲間、ナンヨウハギなどが良い仲間とされています。
しかし、大型で攻撃的な魚などとは一緒に飼育するのは避けるべきです。
3. 混泳時の注意点
混泳を行う際には、水槽内に十分な隠れ家や避難場所を用意することが重要です。
特に同じカクレクマノミや、クマノミの仲間との混泳では、喧嘩やテリトリー争いが発生する可能性があるため、水槽内のデザインに工夫が求められます。
4. 必要に応じて隔離する
混泳時にはカクレクマノミを隔離できるアイテムを使用して、カクレクマノミがストレスなく生活できるような環境を作りましょう。
セパレーターや隔離箱など、これらのアイテムは状況が緊迫した際に安全な場所を提供します。
カクレクマノミが他の仲間と穏やかに共存できるような環境づくりが、水槽内での健康な生活を促進します。
次に、繁殖に関する情報について見ていきましょう。
カクレクマノミの主な病気と予防
カクレクマノミの飼育において、特に注意が必要な病気とその予防策について詳しく見ていきましょう。
1. 海水性寄生虫感染症
海水性寄生虫感染症は、魚の健康を脅かす重要な病気の一つです。
これは、寄生虫が魚の体表やヒレやエラに感染し、症状としては体を擦り付けたり、呼吸が荒くなったり、皮膚に白い斑点が現れることがあります。
予防と対策:
- 隔離槽(トリートメントタンク)での新しい魚の検疫を徹底し、感染源の確認を行います。
- 水質を安定させ、魚がストレスを感じにくい環境を提供します。
- 感染が疑われる場合、水槽内での治療が困難な場合は、感染した魚を隔離して治療します。
- ヨウ素殺菌筒や、ヨウ素を含む海水用添加剤の使用も効果的でおすすめです。
治療法:
- 有効な寄生虫駆除薬を使用したり、淡水浴をしたりします。
- 特定の製品は、魚に与える前に隔離槽での使用が推奨されることがあります。
- 治療期間中、魚のストレスを最小限に抑えるよう努めます。
- 餌を十分食べて栄養を摂取することも治療を助けます。
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2. トリコディナ感染症
トリコディナ感染症は、原生動物であるトリコディナによって引き起こされる病気で、魚のヒレや皮膚に損傷を与えます。
体表粘膜やヒレなどが部分的に白く濁って見えたり、あまり動かなくなったり、餌食いが悪くなったりします。
予防と対策:
- 定期的な水質管理を行い、水質の急激な変化を防ぎます。
- 新しい仲間を導入する前に、隔離槽での検疫を実施し、感染リスクを低減します。
- 適切な餌とバランスのとれた栄養摂取を確保し、魚の免疫力を向上させます。
- ヨウ素殺菌筒の使用も効果的でおすすめです。
治療法:
- 感染が疑われる場合、淡水浴をしたり、抗原生動物薬を使用して治療を行います。
- 隔離槽での治療が推奨されることがあります。
- 治療後、水質を安定させ、魚の健康状態を定期的に観察します。
これらの病気に対する理解と適切な治療法、予防策の実践が、カクレクマノミの健康を確保し、水槽内での安定した環境を促進します。
ちなみに私の我流ですが、生体を入れる1週間前からPSBを大量投入する方法で、トラブルなく飼育をスタートさせるやり方をやっています。
また、病気が発生して生体が全滅した水槽にもPSBを大量投入して、全滅から1週間後に再び生体を導入して問題なく飼育をスタ-トさせるやり方もやっています。
例で言えば、30~40ℓ程度の水槽にPSBを500~600㎖入れたり、80ℓ水槽にPSBを800㎖入れたり、240ℓ水槽にPSBを2ℓ入れたりです。
量は適当ですが、とにかく大量に入れるので濁りますが、翌日か数日後には透明で綺麗な水になります。
PSBは、市販のPSBでも当店オリジナル超特濃高級PSBでも、効果は同様です。
当店オリジナル超特濃高級PSBの購入は、こちらでもできます。
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