ネオンテトラの飼育・繁殖・混泳・病気管理と理想的な環境づくり

ディスカスとの混泳

ネオンテトラ(Paracheirodon innesi)は、その鮮やかな青と赤の体色で知られ、アクアリウムの世界で最も人気のある魚種の一つです。

日本では昭和20年代の後半に、ごくわずかな熱烈なマニアの間で大事に育てられるようになった熱帯魚です。

その当時は車1台相当の高価な熱帯魚で、飼育に関しても練炭ストーブで保温し、繁殖にかけた情熱は想像を絶するほどです。

現在では飼育が比較的容易で、群れをなして泳ぐ姿が美しいため、多くの初心者からベテランアクアリストまで愛されています。

この記事では、「ネオンテトラの飼育・繁殖・混泳・病気管理」について詳しく解説します。


1. ネオンテトラの飼育環境

1.1 水槽サイズ

ネオンテトラは小型の魚なので30㎝水槽(10リットル前後)から飼育可能ですが、群泳を楽しむためには最低でも30リットル以上の水槽がおすすめです。

彼らは自然の中では大群で泳ぐ習性があり、10匹以上での飼育が推奨されます。

 

 

1.2 水質管理

ネオンテトラは弱酸性の水を好み、pHは6.0〜7.0が理想的です。

グッピーより低pHに耐えることができるため、その点で言えば丈夫と感じるかもしれません。

水温は20〜29℃くらいの範囲で飼育できます。

詳しくは後ほどお話ししますが、繁殖させるなら水温は低めになります。

水質の安定は特に重要で、突然の水質変化は病気の原因となることがあります。

定期的な水換えが健康管理の鍵です。

1.3 照明とレイアウト

ネオンテトラは中程度の光を好みますが、強い光には敏感です。

水槽に浮草を入れて光を拡散させると、彼らが落ち着きやすくなります。

また、流木や水草を豊富に配置し、自然に近い環境を再現することで、ストレスを軽減できます。


2. ネオンテトラの繁殖方法

2.1 繁殖環境の整備

ネオンテトラの繁殖はやや難しいですが、成功させるためには専用の繁殖用水槽(10ℓくらい入る30㎝水槽でも大丈夫)を用意し、温度を20~24℃前後と低めに設定します。

フィルターは、スポンジフィルターがおすすめですが、エアーの流量は弱くしましょう。

また、照明はつけないで部屋の明かりだけにするか、つけるとしても弱い照明にしておきます。

底砂は敷かずにベアタンク方式にし、ウィローモスなどの水草やシュロの縄を利用して、それらが密生した場所を作ってやります。

追尾行動が見られる雌雄がいたら、それらの個体を繁殖に使うのが最短の近道です。

雌はお腹がふっくらと丸みがあって、雄より全体的に大きく見えます。

雄はスレンダーな体型をしているので、成魚であれば雌雄判別は簡単にできます。

ちなみにネオンテトラは、いつでも状態の良い産卵前期の若親を簡単に入手しやすい強みがあるので、繁殖に挑戦しやすいとは言えます。

雄と雌を分けておき、繁殖期に一緒にするのも効果的です。

産卵は午前中に多いですが、雌雄がぶつかるようにした瞬間に産卵します。

産卵すると透明な沈性卵をバラまきますが、産卵が終了したら親魚による食卵を防ぐために、親魚は水槽から取り出します。

卵は弱いため、卵がカビるのを防ぐために、水が薄っすら色づく程度にメチレンブルー系製剤やマラカイトグリーン系製剤を入れ、照明は水槽内が一応見えるくらいの暗さのものを24時間点灯させて、水槽内をいつでも確認できるようにします。

卵は、24℃で1日で孵化します。

2.2 稚魚の管理

24℃で1日で孵化した稚魚は、5~6日目からインフゾリアを少量ずつ与え、それから更に1週間後くらいから生きたブラインシュリンプベビーを与えます。

2ヶ月もすると、小サイズのネオンテトラに成長します。

とにかく注意するのは、孵化からインㇷゾリアを食べ始める、孵化から5~6日目あたりまでは、できるだけ薄暗くしておくということです。

なのでその時期は、直接ライトの光を当てないでください。

明暗のショックを与えないという意味でも、初めから薄暗い明るさを24時間保つのが良いと思います。

水槽内が確認できる最低限の明るさであれば良いので、極端な話、豆電球のようなものでも水槽内が確認できるなら良いです。

親魚は、15~30日で次の産卵が可能になり、それが5~6回ほど続きます。


3. ネオンテトラとの混泳

ネオンテトラは穏やかな性格で、多くの他の小型で温和な魚種と混泳が可能です。

ただし、攻撃的な性格の魚や、サイズが大きすぎる魚とは相性が悪いことがあります。

成魚のネオンテトラであればディスカスとの混泳も可能ですが、ディスカスはネオンテトラを食べてしまうケースもあるので注意が必要です。

ここでは、混泳に適した魚種をいくつか紹介します。

3.1 カージナルテトラ(Paracheirodon axelrodi)

ネオンテトラに非常によく似た体色を持つカージナルテトラは、ネオンテトラと同様に温和で、同じような環境で飼育が可能です。

両種ともに群泳を楽しむため、同じ水槽で色鮮やかな風景を作り出します。

3.2 ラミーノーズテトラ(Hemigrammus rhodostomus)

ラミーノーズテトラは、頭部が赤く染まった独特の外見が特徴です。

ネオンテトラと同じく群れで泳ぐ習性があり、混泳に最適です。

温和な性格で、同じ水質を好むため、相性は抜群です。

3.3 オトシンクルス(Otocinclus)

オトシンクルスは、ネオンテトラの水槽における掃除役としても人気があります。

彼らはコケを食べる習性があり、温和で他の魚に対して攻撃的ではありません。

混泳水槽でバランスの取れた環境を保つために役立ちます。


4. ネオンテトラの病気管理

4.1 一般的な病気

ネオンテトラは「ネオンテトラ病」や「白点病」にかかりやすいことで知られています。

特にネオンテトラ病(カラムナリス病)は、体色が薄れ、最終的には死に至ることが多いため、早期発見と予防が重要です。

4.2 病気の予防と治療

水質の悪化が病気の主な原因です。

定期的な水換えとフィルターのメンテナンスを怠らないようにしましょう。

病気が疑われる場合は、早急に適切な治療薬を使用することが推奨されます。

特に白点病の場合、水温を28℃以上に設定することが治療に効果的です。

関連記事:魚の病気や魚病薬はこちらを参照


まとめ

ネオンテトラは、その美しい体色と群れをなして泳ぐ習性から、多くのアクアリストに愛され続けている魚です。

適切な飼育環境を整え、他の温和な魚、例えばグッピーやコリドラスなど、色々な小型魚と混泳させることで、素晴らしい水槽環境を作り出すことができます。

また、病気の予防に気をつけることで、長期にわたって彼らを健康に育てることができます。

アクアリウムをより美しく、そして穏やかな雰囲気で満たしてくれるネオンテトラをぜひお試しください。


よくある質問(FAQ)

Q1: ネオンテトラに適した餌は何ですか?
A1: ネオンテトラは小型の粒状の人工餌やフレーク、さらにはブラインシュリンプやミジンコなどの生餌も好んで食べます。

バランスの取れた食事を提供することで、色鮮やかな体色を保つことができます。

 

Q2: ネオンテトラはどれくらいの寿命がありますか?
A2: 適切な飼育環境と食事を提供すれば、ネオンテトラは2〜5年ほどの寿命を持っています。

 

Q3: ネオンテトラは繁殖が難しいですか?
A3: 繁殖はやや難しいですが、適切な環境と条件を整えれば可能です。

特に弱酸性の水質と、暗めの照明が鍵となります。

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