ツノガエルは、そのユニークな外見と肉食性でペットとして非常に人気があります。
飼育の際は省スペースで済みますし、餌も毎日は与えないため、飼育も楽なのがその理由の1つでもあります。
本記事では、ツノガエルの主な種類、特徴、飼い方や健康管理、病気の予防について詳しく解説します。
飼育にあたって重要なポイントや注意点を押さえて、ツノガエルの健康を守りましょう。
ツノガエルの種類と特徴
ツノガエルは、南アメリカに生息するカエルで、目の上に角のような突起があることからその名が付けられました。
種類ごとに異なる特徴がありますが、どのツノガエルも肉食性で、昆虫や小動物を捕食します。
以下に、代表的なツノガエルの種類をご紹介します。
1. ブラジルツノガエル (Ceratophrys aurita)
- 最大サイズ:体長15~20センチメートル
- 特徴:最大種ですが、飼育下で20㎝というのは難しいです。目の上の突起も発達する、キングオブツノガエル。
2. アマゾンツノガエル (Ceratophrys cornuta)
- 最大サイズ:体長7~15センチメートル
- 特徴:大きな口と、目の上の目立つ突起が特徴で、喉元は黒色をしてるのも大きな特徴です。体型的にも特徴的なものがあります。こちらも最大では20㎝近くまで成長する場合もあるようです。
3. ベルツノガエル (Ceratophrys ornata)
- 最大サイズ:体長12~15センチメートル
- 特徴:茶色や緑色の体色でカモフラージュ効果があり、赤色味の強い個体は価格もアップします。物怖じしない性格で体質も丈夫で、貪欲な食欲のおかげで一番飼いやすい種類です。人気のツノガエルです。
4. クランウェルツノガエル (Ceratophrys cranwelli)
- 最大サイズ:体長12~15センチメートル
- 特徴:改良されて色々な体色がいるのが特徴で、比較的穏やかな性格を持ちます。性格には個体差があるため、神経質な個体がいることもありますが、価格的にも流通量的にも人気のあるツノガエルです。
5. カーティンガツノガエル (Ceratophrys joazeirensis)
- 最大サイズ:体長12~15センチメートル
- 特徴:比較的珍しい種類です。ベルツノなどに比べて皮膚の突起も滑らかな特徴があります。クランウェルツノガエルより、若干大きくなりやすいという話もあります。
7. チャコガエル (Ceratophrys pierottii)
- 最大サイズ:体長5~7センチメートル
- 特徴:以前は、ツノガエルと、ネコメタピオカガエルの交雑種と考えられていましたが、現在では、一属一種のチャコガエル属を形成するカエルとなっています。丸みがあって可愛らしく、どことなくユーモラスな立ち姿を見せてくれるツノガエルです。
ツノガエルの飼い方
ツノガエルはそのユニークな姿勢と性格で人気のあるペットですが、飼育にはいくつかの重要なポイントがあります。
以下に、ツノガエルを健康に飼うための基本的な環境設定や餌の与え方を解説します。
飼育環境
ツノガエルは湿度が高く、温暖な環境を好みます。
以下の環境設定を心がけましょう。
- 温度:22~28℃が理想的です。夜間は少し温度を下げても問題ありませんが、寒くなりすぎないように注意しましょう。活性を上げるなら温度は高めが良いです。
- 湿度:湿度は60%〜80%を保ちます。湿度が低すぎると脱皮不良や健康問題が発生する可能性があります。湿度が低いとコクーン(繭状の形態)になることがあります。
- 飼育ケース:深さのある底材(ココナッツファイバーや湿った土)を使用し、掘ることができるスペースを確保するか、管理重視のやり方として、ホワイトマットと水のみを飼育ケースに入れるシンプルな飼い方もあります。ホワイトマットは、ツノガエルが間違って噛んでしまった場合、マットの繊維が歯に引っかかって良くないので、硬めの素材のマットがおすすめです。
- 水入れ:容器内に水を張る飼い方以外では、水浴びができるように、水入れを設置しましょう。水は清潔に保ち、定期的に交換することが大切です。
餌
ツノガエルは肉食性で、昆虫や小動物を好んで食べますが、人工フードに慣れさせれば、飼育がもっと楽になります。
基本は、餌は週に1~2回です。
つまり、3日に1回か、1週間に1回しか餌を与えません。
幼い個体ほど回数を与えますが、食べる量が少ない日があった場合は、与える日数を増やすのも方法です。
ただし、食べさせ過ぎは死を招くので、控えめにしておくのが無難です。
そのツノガエルが飼いやすいかどうかは、餌付け・餌食いにかかっていますが、こればっかりは個体差もあります。
できることといえば、ツノガエルに変なトラウマを植え付けてしまわないことです。
ツノガエルにストレスをかけないようにして、警戒する機会がなるべく少なくなるよう心がけましょう。
以下の餌を与えることができます。
- 昆虫:コオロギ、ミルワーム、シルクワームなど
- 冷凍餌:冷凍のマウスや小動物も与えることができます。
- 人口餌:ツノガエル用に人工餌があります。水でふやかしてから与えます。練り餌などもあります。
餌のやり方(コツ)
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私の飼育環境での話をしますが、すごく食い気のある個体は頭上から餌が来るとわかった時にジャンプまでして食べようとします。
プラケの蓋を開けて、ピンセットでつまんだ餌を入れると、すごく食い気のある個体はその段階で動く餌とピンセットに気がついて反応します。
そして、目の前に餌を持っていくと「パクッ」と食べてくれます。
問題は食べない時、反応が悪い時です。
そういう時は、以下のような餌のやり方を試してください。
- カエルの横から餌を下ろしていき、口の高さに来たら、口をなぞるように(でも口には触れないように)口のはしから口の中央へ餌を移動させ、また口のはしへ戻ったり、これを口の左右方向に試す(横の動き)。
- 口の前まで下ろしても食べないなら、口の下のアゴまで餌を下ろし、また口の位置まで上げ、そのまま目線まで更に餌の位置を上げてみる(縦の動き)。
- カエルの目の前に餌を落としてみる。この時、カエルの手を目がけて落とすのも良いです。
- 餌を口に押し当てて、カエルが怒って口を開けた時に、タイミング良く餌を食べさせる(あまりおすすめしない)
手入れと清掃
- 飼育ケースの清掃:ツノガエルは食べ物をこぼしやすいため、飼育ケースや水入れを定期的に掃除し、清潔を保ちます。水とホワイトマットのみの環境なら、毎日のように頻繁に水換えをします。脱皮した皮などが残っていたりするので、頻繁に水換えするのが良いです。
- 換気と保湿:湿度を保ちながらも換気をしっかりと行い、カビや汚れが発生しないようにします。ですが、特に夏場や冬場のエアコンの風などで乾燥しやすくなるので、水の蒸発には細心の注意を払いましょう。
ツノガエルの病気と予防
ツノガエルは適切な飼育環境で健康に育ちますが、不適切な管理が原因で病気になることがあります。
以下に、ツノガエルがかかりやすい病気とその予防法を紹介します。
1. 皮膚病(感染症)
湿度が高すぎる環境や不衛生な状態で飼育すると、赤肢病(レッドレッグ)のような細菌感染症や、カエルツボカビ症などの真菌感染症が発生することがあります。
- 予防法:湿度管理を適切に行い、飼育ケースを定期的に掃除して、とにかく清潔を保つ意識を忘れないでください。ホワイトマットと水だけのシンプルな環境で管理すると病気になりにくいです。反対に、レイアウトをした環境で飼う場合は病気になりやすいので注意しましょう。
- 治療薬:レッドレッグのような細菌感染症には、魚病薬であるエルバージュや、グリーンFゴールド顆粒などを使い薬浴します。ツボカビ症には真菌薬のイトラコナゾールが効くので、水に溶かして霧吹きなどでカエルや飼育容器内に吹き付けます。
2. 消化不良
餌を与えすぎると消化不良を引き起こし、便秘やガス病などで膨張が発生することがあります。
- 予防法:餌の量を適切に管理し、餌の量を一度に多く与え過ぎないよう気をつけます。新鮮で栄養価の高い餌を与えることが大切です。
- 治療法:お腹が通常の大きさに戻るまで絶食させます。温度を28℃になるよう管理したり、28℃での温水浴をする。
3. 呼吸器疾患
乾燥し過ぎたり、不適切な環境で飼育すると呼吸器系の病気が発生することがあります。
- 予防法:湿度と温度を適切に保ち、過度ではなく適度な換気状態を保ち、飼育ケース内を清潔に保ちましょう。
自家中毒
容器内にある水に溶け込んだツノガエルの排泄物のせいで、アンモニア態をツノガエルが皮膚から吸収してしまうことで体調を崩したり、死ぬことがあります。
予防法:とにかく清潔を保つことです。フンを見つけたらすぐに取り除き、水とホワイトマットを入れているなら、ホワイトマットの洗浄や交換と、水換えを行います。これまで述べた病気全般に言えることですが、プラケにホワイトマットと水だけの飼育であれば、私は2~3日に1回水を全換えはしますし、毎日やるのが良いとは思います。その際、私は適温にした水道水で直接水換えし、カルキ(塩素)は抜いていません。これは塩素の消毒力も利用する意図があるためですが、この管理方法で今まで問題は起きていません。
まとめ
ツノガエルは省スペースで飼育ができ、世話に手間もかからず、そのユニークな外見と性格から人気のペットです。
正しい飼育環境を提供し、適切な餌や健康管理を行うことで、長く健康に育てることができます。
この記事で紹介した飼い方や病気予防のポイントを参考に、ツノガエルの健康を守りましょう。
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