ディスカスの飼育

ディスカスの飼育

ディスカスの飼育は難しい?

ディスカスは初心者向きの魚ではありません。

しかし、とても飼うのが難し魚というわけでもありません。

ディスカスには他の魚種には無い、ディスカス特有の飼育条件などがあるので、それを覚えることが必要です。

ディスカスの特徴を知って上手く飼えるようになれば、むしろ他の魚の方が弱く感じます。

そんな丈夫なディスカスでも、かかりやすい病気があります。

ディスカスに限らない話ですが、アクアリウムを長くやっていくうえでは、病気について対応できるようになることが1番大事なことと言えるくらいです。

飼育方法にとどまらず、魚の病気についても必ず覚えましょう。

そしてディスカスはグッピーなどと同じく、繁殖してこそ更なる奥深さを知ることができます。

外国産ディスカスもいれば国産ディスカスもいますし、ワイルドディスカス(野生個体)もいます。

しかも、ただ繁殖させるのではなく、作ることが面白いのです。

考えて親魚を選び、交配させて子を得る。

交配方法を駆使して何年もかけて血統を作り、育成によって、より良い個体に育て上げる。

血統作りや育成による良個体作りなど、沢山の面白さがあるんです。

ペアを見ていると特に感じるのですが、人間のような様子を見せるディスカスを知れば、皆さんもきっとディスカスのとりこになるはずです。

ディスカスの種類

ディスカスは大きく分けると「改良品種」と「原種(WILD)」がいます。

原種ディスカスは「WILD(ワイルド)」ともいわれ、WILD物は中・上級者に人気がある傾向があります。

WILD物も種類がありますが、それをもとに作出された改良品種は更に多くの品種がいます。

ディスカスのネーミング(品種名・商品名みたいなもの)にも色々ありますが、見た目が同じに見えるディスカスに違うネーミングがついているものも目立ちます。

これは昔からディスカス以外の魚種にもあることなのですが、「見た目が同じなのに違うディスカスなの?」というふうにユーザー側が混乱して、人気が落ちることにもつながります。

一方、なぜこういうことがあるかといえば、「私のオリジナルだから」と言ってブリーダーが各々で名前をつけたり、「新しい品種や珍しい品種に感じるだろう」ということで販売側が勝手にネーミングをつけたりといたことがあるからです。

原種の場合は、産地名がブランド名みたいなものになっている一面もあるのですが、見た目が似ていると、違う産地なのに人気産地だと嘘をついて販売されていることもあります。

このようなネーミング虚偽や産地偽装は昔から無くならないので、買う側に見抜く目が必要ですが難しいともいえるので、結局のところ納得して購入できれば良いと思います。

WILDディスカスは野生のディスカス、つまり原種・現地採集個体ですが、「WILD(ワイルド)物」や「WILD個体」と言います。

ディスカス以外の魚でもWILD物が輸入されてきますが、南米アマゾンからの輸入だと、基本的には日本の秋から春くらいまでがWILDシーズンとなり、多くのWILD物が輸入されます。

野生のディスカスですから、やはり基本的にはブリード物(養殖個体)より飼育・繁殖は難しくなります。

原種にも種類があるのですが、飼育・繁殖難易度もその種類によって違ってきます。

原種を好む人、改良品種を好む人、どちらも同じくらい好む人と色々です。

ディスカスに限らない話で、魚は飼い込むことで本当の美しさを見せてくれますが、その変化が大きいのがWILD物です。

この劇的変化を知ることでWILDディスカスにハマったり、そもそもWILD物に特別感を感じたりするものです。

数ある改良品種の元になっているWILDディスカスであり、あの遥か彼方にある広大なアマゾン川にいるWILDディスカスに、特別感を感じずにはいられないでしょう。

ディスカス飼育に使う「水」と水温

ディスカス飼育に使う水とは?水温も違う?どういうことか見ていきましょう。

大事なのは「水換えに使う水」

これが1番大事なポイントです。

水換えに使う水は、汲み置いておいた水(溜め水)にしましょう。

水道から出して間もない水は、カルキ抜きで瞬時にカルキを無害化しても危険が残っているのです。

それもあって、一般的な水換え方法として「一度に換える水の量は全体の3分の1~半分以下にしましょう」と推奨されているのです。

この危険というのが二酸化炭素なのですが、溜め水の場合、カルキはもちろん二酸化炭素も抜けてくれるので、1番安全な水になるのです。

水道水は、蛇口から出された時点から時間が経つとともにカルキや二酸化炭素が抜けていきますが、二酸化炭素は抜けるのに時間が必要なので、汲み置くことが必要になるのです。

時間的には、一晩汲み置いておくだけで十分です。

時間がない時は1時間でも2時間でも、なるべく汲み置いて使いましょう。

極端な話、汲み置いて30分で使ったり、単に汲み置いてすぐに使っても、ダイレクトで水換えに使うよりはマシです。

それだけでも、蛇口から出したばかりの水とは危険度が大違いなのです。

浄水器を使用しての水換えも同様に、汲み置いてから使用しましょう。

パーフェクトな水を目指すなら

更に万全の体制にするなら、溜め水を使用する時にテトラアクアセイフなど、粘膜保護剤も使用することを強くおすすめします。

それと、溜め水をしておく容器にはエアレーションをし、ヒーターも入れて適温(飼育温度)にしておきましょう。

この溜め水さえあれば、どんな魚も飼えるというくらい安全な水と言えるので、必ず覚えておいてください。

ちなみに、ph降下剤などを使って水質コントロールしたい場合は、飼育水槽に直接添加するのは危険なので、溜め水槽に添加して水質調整済みしたうえで水換えに使いましょう。

基本的にはピートモス使用時も同様ですが、ピートモスは自然の物なのでph調整(phを下げる)するものとしては安全です。

飼育水槽に直接使っても大丈夫なので、ピートモスは万人におすすめです。

 

 

 

ディスカス飼育の水温

一般的には以下のようになります。

稚魚や幼魚・・・31~32℃

若魚や成魚・・・30℃

繁殖・・・・・・28~30℃

この水温の1℃2℃の差は大きいもので、成長スピードや活性の高くなり易さなどが全然違ってきます。

活性が高い状態だとディスカスの餌食いも良いので、成長しやすいことになります。

つまり、水温が高ければ飼育がしやすくなることがメリットです。

この場合のデメリットは、老化や繁殖に関わってくることです。

成魚になっても水温が高いままだと代謝も高いままなので、老化が早まることになって、鑑賞寿命や寿命そのものが短くなることにつながります。

他には、水温を高くして育成だけにフォーカスし過ぎると、食べさせ過ぎたりして内臓脂肪がついたりすることで繁殖しにくくなる体質になるケースもあります。

ディスカスの水換え方法

ディスカスは、状況に合わせて水換えの頻度を変えたほうが良いのですが、どのような場合に、どのような水換えをすれば良いのか見ていきましょう。

ディスカスは高頻度の水換えが基本

基本的に頻繁な水換え飼育は、特に成長期にあるディスカスに行います。

成長期は、なるべく多く餌を食べさせることになるので、水換えが必要になるのです。

そして、この水換えがディスカスの代謝を促進し、成長が促されます。

ペア水槽でも毎日少量水換えをするプロもいますが、基本的にはディスカスが成魚になっていく過程で、水換え頻度や一度に換える水の量を減らしていきます。

その方がディスカスの寿命も長くなりやすく、体色も褪せにくくなる傾向があるからです。

以前は、ディスカス飼育といえばph(ペーハー)やkh(ケッチ)は高くない方が良いとされてきました。

いわゆる「弱酸性の軟水」という水質です。

しかし昨今では、今までとは逆と言わないまでも弱アルカリで、ある程度khがある水質での飼育を推奨している例もあります。

私の管理方法から言えば「毎日のような頻繁な水換えをしていれば水質は気にしなくていい」というアドバイスになります。

例えば私の地元の水道水だと、蛇口から出したばかりの水をコップに入れて水質測定するとph6.7程度で、コップに入れた水をそのまま放置して翌日また水質測定するとph7.8程度になります。

このような性質の水で水換えをしているので、私の水槽内のphは中性~弱アルカリ性になっている時間が多いです。

中性~弱アルカリ飼育で注意することがあるとすれば、餌を一度に大量投入したりして、アンモニアや亜硝酸が多く発生した場合、そのまま猛毒として影響しやすい特徴があるということです。

しかし頻繁水換えというのは、このアンモニアなどの毒物を水槽内に留まらせない、毒物強制排除のようなものなので「飼育を単純明快にしてくれる」とも言えるのです。

しかし、すでに説明したように、水換えには「汲み置いた水(溜め水)」を使うことが大前提になります。

溜め水を使用しない場合、水を多く換えるほどディスカスの体力を消耗することになり、トラブルが起きるリスクも高まるからです。

成魚の場合、体力を消耗することと体の代謝が高まることで寿命が短くなりますから、大量水換えの場合は特に溜め水を使うことが大切になります。

飼育者に合わせた水換え方法もあり

ここまでは、ディスカスに合わせた水換え方法をお話しました。

しかし、頻繁水換えが辛くなってしまってはディスカスの飼育も楽しくなくなるので、どうしてもディスカスに合わせた水換えができない場合は、飼育者に合わせた水換え頻度でも構いません。

先程も話しましたが、この水換え方法は成長期を過ぎたディスカスにはOKです。

そのかわり、頻繁な水換えをしない場合はphやkhの低下に気をつけなければいけません。

水が汚れてくると酸化していき、水のミネラルも減ってくるので、ミネラル添加もおすすめです。

ただし、ディスカスの繁殖も狙っている場合は、phやkhに影響しやすい商品(phやkhが高くなりやすい商品)を使用すると、ディスカスの繁殖水質から外れてしまうことがあるので、商品の特性を見極めて使用しましょう。

ちなみに、phやkhの数値が低くなってくると、ディスカスが怯えやすくなったり、神経質になって喧嘩をしやすくなったりすることもあるので、ディスカスの様子と水質の数値には気を配るようにしましょう。

水質測定を行った結果、phやkhの低下が見られた場合は、必要に応じて水換えや濾過材の交換などを行いますが、phやkhの上昇剤を使つのも方法です。

私も水換えの時間が無い場合は、ph/kh上昇剤を使用することがありますが、サンゴ砂やカキガラのみを使ってのph値をごまかす方法は、あまりおすすめしません。

サンゴ砂やカキガラでごまかすよりは、基本的に使うアイテムとして、硝酸やリン酸などの酸化物を除去してくれるコトブキ Dr.バイオや、テトラ 水リサイクル(イージーバランス)、ウォーターエンジニアリングのリバースリキッドシリーズなど、これら商品を使うのがおすすめです。

 

 

 

補助的に少量のサンゴ砂やカキガラを使うなら、ディスカスの育成のみでいえば支障を感じることは無いかと思いますが、ペア水槽でそれをやると繁殖から遠のくので注意しましょう。

頻繁な水換えをしない水槽では、慢性的にph値が酸性域にあるのが普通ですが、このような弱酸性の水質では、アンモニアはアンモニウムイオンとなって害を持たなくなるのがメリットではあります。

頻繁に水換えをしない環境は、ディスカスの老化が促進されないのもメリットです。

とはいえ、溜め水を使用していれば体力の消耗が無いので、老化に関してはあまり気にしなくてもいいとも言えます。

低ph過ぎるのが日常的だと、ディスカスの調子がおかしくなるので気をつけてください。

頻繁な水換えをしない管理の場合は、最低限の事としてph値の確認を毎日して、例えば「ph6.0を切ったら水換えするとか、ph5.0を切ったら水換えをする」というようにするのがおすすめです。

その場合、「どれくらいの水量を換えればph値がどれくらい戻るのか」などの感覚もつかむようにしましょう。

 

 

ディスカス飼育の設備

水槽

小型~大型水槽まで、あらゆる水槽が対象になりますが、飼育の場合は、最低限60レギュラー水槽(60×36×30)からが基本です。

おすすめは60ワイド水槽(100×45×45)です。

60ワイド水槽であれば、60規格水槽の倍近くの水量が入るのが良い点です。

メーカー選びも気をつけてください。

粗悪なものは、安い大型アクリル水槽でもないのに、水を張った時に膨らみます。

 

 

水槽台

水槽サイズにあった、専用の水槽台を使用しましょう。

専用のものではない台や、メタルラックなどは危険です。

 

 

ガラス蓋

湿気対策や、ディスカスの飛び出し対策としても、しっかりと水槽にはフタをしましょう。

 

 

水温計

一目で水温を把握できるよう、必ず水温計を設置しましょう。

なるべく正確なものから、見やすいデジタル式まであります。

 

 

 

フィルター

各フィルターのメリット・デメリットを理解して使いこなすようにしましょう。

スポンジフィルターは、マストアイテムといえるくらい使い勝手の良いフィルターで、繁殖水槽では必須ですし、普段もサブフィルターとしても活躍します。

育成に関しては、上部式・外部式・外掛け式・全てのフィルターで育成可能です。

 

 

 

 

照明

明る過ぎる照明はディスカスが怯えることがあるので、そこは注意です。

ディスカスが怯えにくいよう過密飼育にしたり、明るさを落とすなど、トラブル対処を覚えておきましょう。

例えば、なにも60㎝水槽だからといって、60㎝水槽用のライトを選ばなくてもいいわけです。

鑑賞面は劣るかもしれませんが、45㎝水槽用ライトや、もっと小さいライトを設置してもいいわけです。

ライトと水槽の距離を遠くしてもいいですし、ライトをずらして照射面積を小さくしてもいいのです。

 

 

サーモスタット

ディスカスが不調になった場合に必要になるので、水温を35℃位まで上げれるものを選びましょう。

メーカー選びも大事なポイントなので、アクアリウム業界を長く見てきたベテランアクアリストの言うことに耳を傾けてください。

 

 

ヒーター

メーカー選びが大事です。

アクアリウム歴が短かったり、企業案件が絡んでいるユーチューバーなどの動画は鵜呑みにしないよう気をつけてください。

ワット数も水量に見合ったものか、1つ余裕のある容量のものを選びましょう。

それと、寒い時期にサーモスタットやヒーターの故障で水が冷えてディスカスが死んでしまわないよう、1つの水槽にサーモスタットとヒーターを2組設置することをおすすめします。

設置費用を抑えたい場合は、サーモ+ヒーターを1組と、26℃固定オートヒーターを1組で、計2組のヒーター設置にすれば、最悪でも冷水になることは防ぐことができます。

 

 

エアーポンプ

メーカー選びが大事です。

大は小を兼ねるので、エアーポンプは大きめのものを選択すると後々困りません。

エアーポンプはなるべく大きな容量の物を選びましょう。

 

 

エアーチューブ

量り売りをしている場合、1mでは足りないことが多いので、最低でも2mからの購入がお勧めです。

短すぎると困ることがありますが、長くても切ればいいので困ることはありません。

 

 

エアーストーン

下に置くタイプより、ぶら下げて使うタイプが融通が利くのでお勧めです。

どういうことかというと、エアーストーンの位置によって水流の強さや流れの向きを調整することができるからです。

下に置くタイプは、設置位置が水深があるぶん水圧もかかっているので、エアーポンプには力が必要になります。

小さなエアーポンプは安いですが、パワーが無いのでおすすめしません。

 

 

タイマー

照明の規則正しい管理に使用します。

その他の工夫もするなら、エアーポンプやフィルターの稼働にも使っていいです。

規則正しい照明のオンオフは、ディスカスの体調を大きく左右します。

必須アイテムです。

 

 

溜め水用容器(水槽など)

必ず用意しましょう。

水槽が無難です。

容器であれば何でもいいので、大容量のペール(ゴミ箱)、大きな工具BOXや漬物樽(タル)でも使えますが、その場合は容器の強度に注意しましょう。

水を大量ストックするなら、ローリータンクがおすすめです。

 

 

各種魚病薬

これはとても大事です。

数種類を必ず常備しておくようにしましょう。

これ無しで生き物を飼うなど、到底考えられません。

2019~2020年あたりから(おそらく新型コロナと何か関連がありそう)魚病薬の製造中止や遅れが目立っていて、入手しにくくなっています。

死活問題です。

魚病薬については、下記の記事をご覧ください。

魚病薬についてはこちら

水質測定グッズ

phメーターやphモニター、TDSメーターなどは最低限持っておきましょう。

アンモニア・亜硝酸・硝酸塩・KH(炭酸塩硬度)・GH(総硬度)など、なるべく多くの水質を把握できるようにするのが良いです。

 

 

 

 

水換えに必要なポンプやホースやバケツなど

ディスカス飼育のようにベアタンクであれば、灯油ポンプを使用できます。

ホースは折れて使いにくくならないよう耐圧ホースを使いましょう。

10ℓバケツでは余裕が無くて持ち運びの時にこぼれるので、13ℓ位は入るものが便利です

(添加材は10ℓに対して何ml入れるとされているため、最低でも10ℓ以上入るバケツを選ぶ)

ポンプもバケツも最低2個以上使うようにして、排水用と吸水用にわけて使い回さないようにし、万が一の病気発生時の蔓延リスクを軽減してください。

本来であれば、最低限、1つの水槽に1つの排水用ポンプを設けます。

吸水の際はバスポンプを使うと便利です。

バスポンプには耐圧ホースをつないで使用しましょう。

 

 

 

 

 

あれば、更に良いもの

以下の物があれば、更に良いですよ。

殺菌灯

病気予防やコケ予防に役立ちます。

飼育水の透明度も保ちやすくしてくれます。

水槽内に過剰にバクテリアが漂うのを予防してくれます。

(特にディスカスは過剰なバクテリアを嫌う)

フィルターにはしっかりと濾過バクテリアをつけて、飼育水には濾過バクテリアが多くなり過ぎない環境がおすすめです。

 

 

 

 

浄水器

水槽が多くなってきたり、水換えを多くやるようになると、浄水器が便利です。

水換え作業的にも楽になります。

カルキ抜きを繰り返し購入するより、コストもかからなくなります。

水道水に含まれる、不必要な微細な物質も除去できます。

 

 

水質調整剤

浄水器未使用であればカルキ抜き、その他、テトラ アクアセイフのような粘膜保護剤や、テトラ バイタルのようなミネラル添加剤、ブラックウォーター、ピートモス、水の劣化を防いでくれるリバースシリーズの使用、あらゆる物を除去してくれるセラのアクアチューナーの使用など、飼育や繁殖で上手に使いましょう。

 

 

 

ディスカス飼育と60cm水槽

ディスカス飼育で60㎝水槽といえば60ワイド水槽(60×45×45)ですが、60レギュラー水槽(60×36×30)でも飼育ができます。

60レギュラー水槽の場合、5㎝位の幼魚だと5~10匹ほど飼育できます。

しかし、いずれ幼魚が成長してきたら水槽のサイズアップが必要です。

そうしないと水質管理が難しくなって、調子良く飼育できなくなったり、ディスカスが大きく成長できなくなるリスクが高まります。

これが60ワイド水槽だと、先程と同サイズの幼魚が20~30匹は飼育できますし、成魚でも7~8匹ほど飼育可能です。

いずれにせよ、より良いディスカスに育て上げたければ、ディスカスの成長より一足早めに水槽のサイズアップすることをおすすめします。

90規格水槽(90×45×45)は勿論、120規格水槽(120×45×45)もディスカス飼育では当たり前に使われますし、それより大きな水槽を用意できるのであれば、なお良いです。

ディスカスの過密飼育

単独や少数飼育よりは、過密飼育の方がディスカス特有の問題で困らないと言えます。

ディスカス特有の問題とは「怯えや、強弱バランスの問題」です。

飼育数が少ないと怯えが出やすく、中途半端な匹数だと強弱関係ができやすいのです。

過密飼育とは、どの程度のことを指すのか曖昧ですが、おおむね一般的な飼育匹数の1.5~2倍程度からと考えればいいと思います。

私は感覚でやっている派なので、泳いでいるディスカスと水槽スペースを見て判断していますが、超過密飼育も日常的なことです。

過密飼育のメリットは、怯えが出にくく、個体間の強弱関係もできにくいということですが、強弱関係や怯えが出にくければ、ディスカス特有の拒食症も出にくくなることにつながり、より多くの個体が正常な成長を遂げやすくなるのです。

しかし、過密飼育にはデメリットもあります。

水質悪化しやすいということや、大きく成長させるのが難しくなるというデメリットです。

飼育数が多くなると水質悪化しやすくなるので、それにともない水換えもかなり頻繁にやらなければならなくなります。

水槽スペースに対して個体がひしめき合うことで、ディスカスを大きく成長させるのが難しくなります。

飼育者の生活環境や、ディスカスへかけられる情熱や時間を踏まえて、過密具合をどの程度にするか、または過密飼育をしない飼育法にするか決めるのが良いです。

ディスカスとその他の魚の混泳

ディスカスの限らず、混泳に「絶対」はありません。

ケーズバイケースということです。

基本としては、「口に入らないサイズ関係にする」「あからさまに気性の荒い魚種はNG」「ディスカスの飼育環境ありき」です。

ディスカスの環境ありき

他の魚種と混泳させる際は、ディスカスの飼育環境に他の魚を泳がせることになります。

必ず、ディスカスの環境ありきです。

ディスカスは、高水温・ベアタンク飼育(底砂を敷かない飼育方法)などが基本ですから、そこに他魚を混泳させるのです。

これを守らないと、ディスカス飼育は難しくなります。

口に入らないサイズ関係にする

基本的に魚は、1口で飲み込めるものを餌だと認識しやすいのですが、魚種によっては口に入らなくてもフグなどのように齧って食べるものもいます。

そして多くの魚に共通するのは、もし口に入らない大きさの魚をターゲットにして食べようとする場合、目を狙って食べるということです。

その場合、ディスカスの大きさと混泳魚の大きさのバランス次第では、ディスカスが混泳魚の目を食べてしまうこともあります。

例えば私の経験でも、金魚やコリドラスなんかは、ディスカスに目を食べられてしまうことがありました。

グッピーなどの小型魚は、ディスカスの口に入るか入らないかの微妙なサイズの場合、ディスカスがグッピーを食べようとして口にしたものの食べることができず、ただグッピーを死なせてしまったりもあります。

気性の荒すぎる魚種はNG

ディスカスより気の強い魚や、かつ大きな魚はディスカスがやられてしまいやすいですし、プラティやオトシンクルスなどはディスカスより小型でも、他魚をしつこく突きまわしたり舐めまわしたりして、ディスカスを死なせてしまうこともあります。

コケ取りで使われるセルフィンプレコなども、成長とともにディスカスを舐めまわして死なせてしまうことがあるので注意が必要です。

そうなってきたら、小さなセルフィンプレコと入れ替えるのがセオリーです。

コケ取りプレコを入れるのは、単にコケを食べてもらうためだけではなく、水槽内に発生するヌメリを取ってもらうためです。

コケ取りプレコを使わない場合、このヌメリ取りの作業は、毎回の水換え時に飼育者が自分で水槽内を拭いてヌメリ取りをする必要があります。

このヌメリは基本的には雑菌の温床になりますし、なにより水槽内が汚くなっていくので、毎回やらないとしても、定期的には取り除くことが必要です。

結構大発見な大技?小技?

アクアショップZERO

コケ取りプレコについてですが、私が見つけた小技があります。

それは、1つの水槽にセルフィンプレコを2匹以上入れるのです。

1つの水槽に2匹3匹とコケ取りプレコを入れることによって、プレコの攻撃対象がディスカスではなく、まずは同じ仲間のプレコに向かいやすくなるのです。

こうすることでコケ取りプレコが大きくなってきても、ディスカスとの混泳バランスが上手くいきやすくなります。

この小技はディスカスに限らず、コケ取りプレコと他の魚種の混泳にも使えるので参考にしてください。

ディスカスは当たり前に大きくはならない

最後のまとめにお話ししますが、ディスカスは飼育が簡単な魚と違って「誰がどんなディスカスを飼育しても大きく成長させることができる」というような魚ではありません。

ディスカスの種類による飼育難易度の違いもあれば、飼育者の技量による成長の差も大きく出るのがディスカスです。

食が細い期間が続いたり、拒食症になったりすると、ディスカスは大きく成長はしませんし、死ぬこともあります。

ネオンテトラは誰が育成しても、当たり前な大きさのネオンテトラに成長してくれますが、ディスカスは違うのです。

このような特徴は、グレードのある魚に多いのですが、金魚のらんちゅうなどもそうですね。

ディスカスを飼う前に「こんなに大きくなったら大丈夫かなぁ」と心配する前に、「ちゃんと大きくできるかなぁ」ということの心配をした方がいいで。

「ディスカスの環境で育成した個体」と「そうじゃない環境で育成した個体」を見比べれば、一目瞭然です。

幼魚から育成したなら、その両者の環境では大きな差がつきます。

水草水槽に、すでに完成した成魚のディスカスを泳がせて、ディスカスの調子が悪くなる前に写真に収める、というのならよくあると思いますが、水草レイアウト水槽でディスカスを綺麗なまま継続的に育成するのは困難なので、私はおすすめしません。

ディスカスの魅力を知るには、まずセオリー通りにやってみてください。

型破りなことをするには、まずは型を知らなければならないのですから。

それからでも遅くはありません。

ディスカスは、それだけで観賞価値がある熱帯魚の王様なのです。

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