レッドジュエルシクリッドは、その美しい赤い体色とコンパクトなサイズで飼育者に親しまれている観賞魚です。
以下にまとめたポイントを押さえて健康で快適な環境を提供しましょう。
レッドジュエルシクリッドの基本情報
学名と特徴
- 学名: Hemichromis lifalili
- 分布地域: レッドジュエルシクリッドはアフリカ大陸中央および西部の淡水域に生息しています。主にコンゴ川やルアプラ川、カサイ川などの水域で見られます。
外見と体色
- レッドジュエルシクリッドは美しい赤い体色が特徴的で、その鮮やかな赤が観賞ポイントとなります。
- 成魚の全長は最大10㎝ほどで、コンパクトなサイズも魅力の1つです。
- 体には黒い斑点模様やブルースポット(青い点々)が入り、これが赤との対比を際立たせています。
行動と性格
- レッドジュエルシクリッドは一般的に攻撃的で縄張り意識が強い性格を持っています。特に繁殖期にはより積極的になることがあります。この気の強さのため、問屋さんからお店に届く段階で、ヒレなどが切れているケースも多い魚です。
- 繁殖の際には、他の魚に対して攻撃的な態度を見せることがありますが、これは繁殖行動の一環とされていて、シクリッドに共通した子供を守るための本能です。
次は、飼育環境について見ていきましょう。
レッドジュエルシクリッドの飼育ガイド
1. 水槽と環境
- 水槽サイズ: レッドジュエルシクリッドの成魚は、通常は全長10cmほどですが、繁殖ペアを飼育する場合や他の魚と混泳させる場合は、45規格以上の水槽が適しています。なるべくならもっと広い水槽、例えば60規格水槽以上の物を用意してあげましょう。広い水槽は縄張り意識の強い性格を緩和し、攻撃性を抑えるのに役立ちますし、水質悪化がしにくくなることにもつながります。
- 底床: シクリッドは底砂を掘り返す習性があるので、底床をしくのが適していますが、管理のしやすさ重視のやり方を選択する場合はベアタンクでも良いです。レッドジュエルシクリッドの自然な行動を見たければ底床をしく、掃除など管理のしやすさを重視するのであればベアタンク、となります。
- フィルター: 適切なフィルターシステムを導入し、水質をクリアに保ちましょう。水流が強すぎないように注意し、レッドジュエルシクリッドにストレスを与えないようにしましょう。魚の繁殖には、基本的にスポンジフィルターを使うので、そのことをふまえて、メインのフィルターの他に、サブフィルターとしてスポンジフィルターも設置して稼働させておきましょう。
2. 水温と水質
- 水温: 25~28℃程度の温かめの水温を保ちます。おすすめは27~28℃です。定期的な水温のモニタリングが重要で、温度変化が大きすぎないように注意しましょう。水温計にもヒーターにも誤差があるものなので、なるべく誤差の少ない商品を選んだり、誤差はあるものだということを頭に入れておきましょう。
- 水質: レッドジュエルシクリッドは中性から弱酸性の水質を好みます。ですが、はっきり言ってpHを気にしなければならないような難しい魚ではないので、極端な低pHにならないようにだけ気をつけましょう。水質検査キットを使用して水質管理を行い、当たり前ですが定期的な水換えを行って安定した水質を維持しましょう。水換えをひかえたい場合は、それを叶えるための商品を使うことが必須条件になります。
最適な水質を作るために、各カルキ抜きや毒物除去剤から、目的に合ったものを選びましょう。
最強濾過バクテリアや、最強PSBなども以下のリンクから関連記事をご覧ください。
3. 餌の選定
- 高タンパク質の餌: レッドジュエルシクリッドは高タンパク質の餌を好みます。ドライフードや冷凍餌など、バラエティ豊かな食事を提供しましょう。特に人工飼料には色揚げ効果のある原料を含むものを選ぶと、体色の赤の発色がより鮮やかになります。スピルリナ、アスタキサンチン、カロチン、このあたりが原材料の表記の並びの、なるべく初めの方に近い箇所に書いてある餌を選べば、赤の色揚げ効果的に都合がいい餌だと思います。その他では、栄養的にも色揚げ的にも、冷凍ディスカスハンバーグの赤色揚げ用がおすすめです。
- 定期的な給餌: 1日に2回から3回、少量ずつ給餌すると良いでしょう。残り餌が水質悪化の原因になるため、注意が必要です。日頃から十分な餌を与えられたレッドジュエルシクリッドは、丸味をおびた張りのある体をしていて、瘦せなど感じさせない見た目をしています。プリプリボディのレッドジュエルシクリッドに仕上げることができるよう、日頃からの世話をコツコツと行いましょう。
4. 隠れ家と装飾
- 隠れ家: レッドジュエルシクリッドは縄張り意識が強いため、岩や流木、人工の隠れ家を設置して安全な場所を提供しましょう。ペアリングや繁殖の際にもポイントになります。ベアタンクのようなシンプルな環境でも大丈夫なので、このへんは試してみないとわからないと言えます。
- 装飾: 水槽内には多様な装飾を配置し、縄張りを形成するための要素を提供します。具体的には石や流木などですが、魚は障害物につきたがる傾向があるためです。しかし、水槽内が過度に装飾されるとレッドジュエルシクリッド同士の対立が生じる可能性があるため、石や流木同士の距離をとって、バランスを考えることが重要です。
以上の飼育ガイドラインに従いながら、レッドジュエルシクリッドにとって安定した環境を提供しましょう。
これにより、彼らの美しい姿と繁殖行動を最大限に引き出すことができます。
次は、繁殖について見ていきましょう。
レッドジュエルシクリッドの繁殖ガイド
1. 成熟の確認
- 年齢: レッドジュエルシクリッドは、4~6ヶ月くらいで性成熟しますが、このへんは水温や育て方でもっと月日がかかることもあると思います。成熟した個体を選び、ペアリングのための水槽を用意します。
2. ペアリング
- 広い水槽の用意: ペアリングに適した水槽を用意しましょう。複数の個体を育成していれば、そのうち自然とペアになるものが出てきます。もちろん、自分で雌雄判別をしてペアリングさせても構いません。ベアタンクでシンプルな環境にしてもいいですし、適切な底床と隠れ家を配置してもいいです。飼育者が選んだ個体でペアを組ませる際は、攻撃的な行動が見られやすいので、適度な隠れ家があった方が良いです。
- 性格の確認: 性格が合うかどうかを確認し、攻撃的な傾向が見られる場合は別々に飼育し、成熟するまで待つ方法もあります。透明なセパレーターで分けて、お互いが見える状態でお見合いさせるのも良いです。また、レッドジュエルシクリッドよりは弱く、でも殺されないような魚をペア水槽に入れて、ペアにとっての共通の敵を作って、ペアの絆を深める方法もあります。
3. 繁殖行動
- ダンスと産卵: ペアが形成されると、特有のダンスと言いますか、アピールするような行動や産卵行動が始まります。雌の肛門から輸卵管が出て目立つようであれば、間もなく産卵が始まります。雌が平坦な表面に卵を産み付け、そのあとに雄が受精させることを交互に繰り返します。
- 卵の数: レッドジュエルシクリッドは数十から百個以上の卵を産むことがあります。これは、魚は普通は雌の体の大きさに比例して産卵数が違ってきます。卵は雌によってしっかりと守られ、雄も卵を守ります。
4. 産卵と保護
- 卵の保護: 雄も卵を保護し、他の魚や外部の脅威から守ります。卵が孵化するまでの期間、雄も警戒心が高まります。
- 稚魚のケア: 卵から孵った仔魚もペアによって守られます。稚魚が巣立つまで、ペアリングの維持と水質管理が重要です。ペアの仲が悪くなった時には稚魚にも被害が出ることも多いので、ペアリングの維持がポイントになるのです。
5. 稚魚のケア
- 専用の水槽: 稚魚の育成には、専用の育成水槽が必要です。水温や水質、適切な餌などに注意しながら稚魚の成長をサポートします。稚魚育成水槽のフィルターは、スポンジフィルターのみで管理します。主な理由は、稚魚や稚魚用の微細な餌をフィルターに吸い込まないようにするためです。
- 適切な餌の提供: 稚魚には生きたブラインシュリンプベビーを与えます。魚の繁殖の場合、稚魚育成の初期飼料は基本的にそれしか選択肢がないくらいなのですが、その他の餌しか与えられない場合は、次の候補としては冷凍のブラインシュリンプベビーや、冷凍コペポーダです。最後の候補として、稚魚用のパウダー状のドライフードになります。これは、おすすめの順です。成長に合わせて餌の粒度を変えていくことが大切です。
6. 成魚への混泳
- 成魚への混泳: 稚魚が幼魚に成長し、幼魚から若魚程度の一定の大きさに成長したら、成魚たちと同じ水槽に戻して混泳させることが可能です。ただし、縄張り意識が強まるため、よく観察することと、水槽内のレイアウトや混泳メンバーに注意が必要です。
以上の繁殖ガイドを参考にしながら、レッドジュエルシクリッドの繁殖行動を観察し、成功に導くようにしてください。
ペアリングや稚魚のケアには慎重な注意が必要ですが、その姿を見る喜びと成功の達成感は飼育者にとって特別なものとなるでしょう。
レッドジュエルシクリッドの混泳ガイド
1. 混泳の難しさ
- 攻撃的な性格: レッドジュエルシクリッドは攻撃的な性格を持つため、混泳には慎重な検討が必要です。他の魚に対して縄張りを主張する傾向があります。基本的に過密飼育や超過密飼育をすることで混泳のパワーバランスを取ることも可能ですが、一般のかたにはこの条件を作るのが難しいと言えます。しかし、一度繁殖に成功すれば、匹数をそろえることができるようになるので、そうなった時には過密飼育を試してみてください。なんにでもメリット・デメリットはあるので、実際に試してみてから検討してみるといいです。
- 繁殖時の攻撃: 特にペアリングや繁殖の際になると攻撃性が強まり、他の魚に対して攻撃的な行動をとることがあります。ペアリングの際はペアにとっての共通の敵を混泳させる、繁殖時はペアのみにする、などで対応しましょう。水槽が隣り合っていて、隣りの水槽の魚が見える状況であれば、直接水槽に共通の敵を混泳させなくても、同じような効果が期待できます。水槽が隣り合っていない場合は、大き目の鏡を水槽に立てかけたりすることで、鏡に映った自分を敵の魚だと勘違いさせることも可能なので試してみてください。
2. 同じ大きさの魚
- 同じ大きさの魚との混泳: レッドジュエルシクリッドは同じ大きさだったり、同じ性格の魚と混泳させると比較的穏やかに過ごすことができたりもします。ただこれも基本で、気が優しくても体の大きさでカバーできるパワーバランスもありますし、その逆で、ものすごく気が強い魚を混泳相手に選ぶ場合は、体は小さいのを選ばないとパワーバランスがとれなかったりします。このへんは試しながら飼育者が経験を積み、臨機応変に対応する必要があります。
3. 他のシクリッドとの混泳
- 大型で攻撃的なシクリッドとの混泳: レッドジュエルシクリッドは、同じシクリッド科の仲間とも混泳が可能ですが、大型で攻撃的なシクリッドとの混泳には注意が必要です。気の強さが同じくらいであれば、体の大きな方が強いからです。水槽内の配置や適切なスペースを確保したり、逆に超過密飼育をするなどして個々の魚に縄張りを持つスペースを与えないようにするなど工夫が必要です。喧嘩やイジメの発生を最小限に抑えるように心がけましょう。
4. 底性魚との混泳
- 底性魚との混泳: 底性魚、たとえばプレコとは混泳が上手くいきやすいです。ただし、混泳に絶対は無いので、試してみないとわからないものなのです。熟練者になれば、試す前からある程度の予想を立てることができますが、それでもやっぱり試さないとわかりません。試すには、水槽や個体が複数、多めにないとならないので、この条件を満たさない飼育者には簡単ではないかもしれません。しかしそれでも、混泳させやすい魚としてはプレコが1番手でしょう。
5. 底部の領域確保
- 底部の領域確保: レッドジュエルシクリッドは底部での活動が多いため、混泳相手によっては底部の領域を確保しやすくなります。他の魚が中層や水面を好む場合、それぞれの領域を考慮して混泳を計画しましょう。しかし、ロータイプの水槽では水槽の高さが無いので、上層が生活層の魚ともバッティングしやすくなってしまいます。そのため、広さだけでなく高さのある水槽も混泳には良いと言えますね。
混泳する際には、魚の種類や性格、大きさ、水槽内のスペースなどを考慮して慎重に行うことが重要です。
水槽内での緊張や喧嘩を最小限に抑え、各魚が安心して生活できるような環境づくりが求められます。
レッドジュエルシクリッドの病気と予防ガイド
1. 一般的な病気とその症状
- 白点病 : 小さな白い斑点が魚の体やヒレに現れます。ストレスや水質の悪化、水温低下などが原因となることがあります。しかし、シクリッド水槽では水温が28℃くらいと高めで管理するケースが一般的なため、白点病は無縁な存在となります。
- 鰓病: 鰓膜が腫れ上がり、通常の呼吸が困難になったり、貧血状態で鰓内部の血色が悪くなったりします。原因としては水質の悪化や細菌感染症、寄生虫感染が挙げられます。細菌感染と寄生虫感染は、白点病(白点病も白点虫の寄生によるものですが)より見かける頻度が多いものなので、魚病薬の常備を心がけてください。
- 口内炎: 口内炎というのが適切な呼称か微妙なのですが、口の中や顎の周りに腫瘍のような赤い腫れが見られ、食欲不振や摂餌困難が生じます。これが何なのか私は明確にわからないのですが、この口内炎はウイルスか何かの感染症が原因なのかなと思います。又は、シクリッドの頭部穴あき病か、それに近いものか、もしそうであれば腹部寄生虫が原因であったり、ビタミン欠乏が原因だったりと言われています。レッドジュエルシクリッドに限らず発生することがある病気です。
魚病薬や病気治療については下記の関連記事をご覧ください。
2. 病気の予防法
- 水質管理: 定期的な水質検査と水換えを行い、水質を安定させます。良好な水質は健康な魚を維持するための基本です。極論を言えば、安全な水を使って安全な水換えをしていれば魚は飼うことができるのです。
- 適切な餌と栄養: バラエティ豊かな栄養バランスの良い餌を与え、魚の免疫力を向上させます。特にビタミン類やミネラルが重要です。餌で摂取することが1番ですが、それだけでは心配な場合は、ミネラル添加剤などを使うのもおすすめです。
- 隠れ家の提供: 水槽内に適切な隠れ家を設置し、魚が適切な隠れ場所を見つけられるようにします。隠れ家がある方が、魚にとっては自然なストレス回避手段ですが、慣れというのもあるので、隠れ家が無いシンプルな環境でも上手に飼うこともできるのです。
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3. 病気の早期発見と治療
- 観察と早期対応: 定期的な魚の観察を行い、体調の変化や不自然な行動に早期に気づくことが重要です。異常が見られた場合は速やかに対処します。異常かどうかの判断をつけられるようにするためにも、普段からよく観察して平常時の魚はどういうものか覚えましょう。
- 隔離: 基本的に、病気は発生したその水槽で治療します。これは何故かというと、病原体がその水槽にあるからです。その水槽を丸ごと治療した方が良いのです。しかし、それが条件的にできない場合に、別の水槽に魚を隔離して治療します。
- トリートメント水槽: 治療水槽のことをトリートメントタンクといいますが、トリートメントタンクはベアタンクにし、スポンジフィルターとヒーターのみのシンプルな環境にします。シンプルな環境にすることで掃除などの管理をしやすくし、薬の効果を妨げる可能性をなるべく排除することになるのです。そして、病気の種類に応じた薬を使って治療を行います。
4. 予防的な医薬品の使用
- 予防的な薬剤の追加: 予防的な目的で適切な種類の薬剤を使用することで、特定の病気の発生を抑えたり、発症しても軽度で抑えることができたりします。ただし、長期的な使用は病原体に耐性をつけることにつながるので、気をつけましょう。魚病薬は3種あれば、ほぼ全ての病気に対応できるので常備しましょう。
- 水槽内の除菌: 水槽内に除菌剤を添加し、水質をクリーンに保つことで病気の予防が期待できます。たとえば、新たな魚をむかえる時に、ただ水槽を洗うのではなく、イソジンで消毒して処理してから魚を迎え入れる方法もあります。除菌や殺菌とは違いますが、そこまでは手間なので、私は水槽にPSBを大量投入して、早ければ翌日に魚を迎え入れる自己流のやり方をとっています。
当店オリジナル超特濃高級PSBについてはこちらをお読みください。
病気予防には飼育環境の管理が不可欠です。
正しい水換え、適切な餌、ストレスの軽減などを心がけ、レッドジュエルシクリッドが健康で美しい姿を開花できるよう努めましょう。
まとめ
レッドジュエルシクリッドは、その美しい赤い体色とブルースポットで飼育者を魅了しますが、その美しさを最大限に引き出すためには日々の適切なケアが欠かせません。
飼育者は継続的な観察と適切な対応が求められる中、今回のガイドラインを参考に、レッドジュエルシクリッドに快適な環境を提供してください。
美しい赤い姿を開花させ、レッドジュエルシクリッドとの生活を豊かに楽しむために、これからも丁寧なケアを心がけましょう。
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